2024.10.24

もう一度知りたいストレッチの話

運動している方なら誰もが共通する話題にこんなものはありませんか?

「昔に比べて身体が硬くなった」「いつからか、立って床まで手が届かない・・・」
「ストレッチは大事なのはわかるけど、結局何をすれば良いかわからない・・・」「どうせやるなら効率的にやりたい」などなど。

今回はそんなストレッチに関して以下の3つのよくある質問に関してお伝えしたいと思います。ストレッチには大きく分けるとゆっくりと止めて関節を伸ばす静的ストレッチとラジオ体操のように動かしながら伸ばす動的ストレッチがありますが、今回は静的ストレッチに関して説明していきます。

1)入浴の前と後はどちらが効果的か?

2)ストレッチは週何回やるべきか?

3)ストレッチは何秒止めていれば良いの?

1)入浴の前と後ではどちらが効果的か?

こちらはなんとなく皆さんも入浴後のほうが、という理解かと思います。答えは、入浴に関してだけ考えれば入浴の後の方が良いというちょっと曖昧な表現になります。入浴後が良いという理由は体表の温度が高くなることで筋肉の硬さが和らぐため、容易にストレッチができるためです。


しかし、意外なことにアイシング後(氷で冷やすこと)でも同様の効果を得ることが出来ます。なぜかというと温熱(入浴)や冷却(アイシング)のどちらにおいても感覚の変化を及ぼすためです。ストレッチをすると筋肉が伸ばされて痛い!と感じてしまい、やる気をそがれてしまいますよね。それはストレッチの刺激を痛みとして感じてしまうためです。温熱や冷却により痛みを感じるセンサーの反応が低くなる(疼痛閾値の低下)と平常時よりも快適にストレッチをすることが出来る、というわけです。


しかし、ストレッチの頻度を考慮すると一週間の総ストレッチ時間が重要と言われており、一週間に300秒以上のストレッチ(1)をすることが推奨されています。1回あたり60秒のストレッチを行うとすると週5回が必要になります。となると、入浴後に限らずストレッチの頻度を増やす方が効果的と考えられます。ただ、人間だれしも習慣化すると継続しやすいため、食後の歯磨きのように入浴後ストレッチをすると決めてしまうのも良いかもしれません。

2) ストレッチはどのくらいの頻度で行うべきか?

上記のように1週間で300秒以上が有効とされていますが、まとめた方がよいか分けた方がいいかは議論されていました。ストレッチの総時間を300秒に統一し、①1週間に1回の300秒のストレッチを行った場合と②1週のうち3回に分けてストレッチを行った研究では②の週3回に分けてストレッチを行った方が関節の柔軟性が高くなったと報告しています(2)。

この研究結果から、まとめてストレッチをするよりも、小分けにしてこまめに行った方が良いでしょう。

3) ストレッチは何秒止めていれば良いの?

ストレッチングの実施時間について、20~40歳代(平均26歳)を対象にハムストリングス(太ももの裏の筋肉)のストレッチを15秒、30秒、60秒で週5回、6週間実施した研究によると15秒のストレッチよりも30秒、60秒のストレッチが効果的であったと結論付けています。ただし、30秒と60秒では統計的に有意な差は認められなかったとしています3)。

この研究結果からは週5回の頻度で30秒のストレッチを行うことを推奨しています。

しかし、対象年齢が若いため年配の方でも同じなの?(年とともに身体が硬くなっている感覚はみなさんありますよね。)という疑問が残ります。その疑問を調査した研究もあるのでご紹介します。対象を65歳以上とした場合、30秒のストレッチでも効果はありますが、60秒のストレッチがより効果的であったとしています4)。30秒の静的ストレッチを続けて変化がない場合、60秒に変更してもよいかもしれません。

まとめると

・ストレッチは入浴の前後よりも頻度が重要

・ストレッチの頻度は週300秒を目安、まとめるよりもコツコツこまめにが正解

・ストレッチの時間は1回につき30秒(最大60秒)を行う

ストレッチのコツをご紹介しました。 「ローマは一日にして成らず」というようにコツコツ続けて身体の変化を感じられるようになると、モチベーションアップにもつながります。食欲の秋に限らず、スポーツの秋を存分に楽しめるようにこまめにトライしてみてください!

<引用文献>

1)Thomas, E., Bianco, A., Paoli, A., & Palma, A. (2018). The relation between stretching typology and stretching duration: The effects on range of motion. International Journal of Sports Medicine, 39(4), 243-254.

2)Nakamura M, Sato S, Hiraizumi K, Kiyono, Fukaya T, Nishishiata S. Effects of static stretching programs performed at different volume-equated weekly frequencies on passive properties of muscle-tendon unit. Journal of Biomechanics.

3)Bandy, W. D., & Irion, J. M. (1994). The effect of time on static stretch on the flexibility of the hamstring muscles. Physical Therapy, 74(9), 845-850.

4)Feland, J. B., Myrer, J. W., Schulthies, S. S., Fellingham, G. W., & Measom, G. W. (2001). The effect of duration of stretching of the hamstring muscle group for increasing range of motion in people aged 65 years or older. Physical Therapy, 81(5), 1110-1117.

【今日のコラム監修】​

長野整形外科クリニック

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